今回から、新しい試みとして、ユニークな研究活動をされている教育者、企業や個人で面白い製品やプロジェクトに関わっている方などに、ビジネスパーソンの学びをテーマに、インタビューしていきます!
初回は、Kisobiの共同ファウンダーであり、筑波大学大学院で客員教授をされている、グローバル人材コンサルタントの高杉尚孝氏に、「グローバル人材」についてインタビューしました。
<聞き手:Kisobi 浦部洋一>
- 高杉尚孝(筑波大学大学院客員教授、高杉尚孝事務所代表)
- <略歴>
- 慶応大学経済学部卒、ペンシルバニア大学ウォートン経営大学院MBA。NHK ETV「英語ビジネスワールド」元講師。マッキンゼーやJPモルガンのニューヨーク事務所勤務を経て独立。大手企業幹部向け研修を、成長意欲の高いビジネスパーソンに公開している。
──本日は、最近何かと話題になっている「グローバル人材」について、お話を伺います。よろしくお願いします。まず始めに、高杉さんの専門分野について聞かせてください。
高杉:これはわたしにとって、とても難しい質問です。幅広く研究しているので。。。(笑)
一言でいうと、「戦略的なコミュニケーション」を中心にしているというと一番いいのかな。「説得するためのコミュニケーション」。言い換えれば、「こちらの意図する行動を相手に促すコミュニケーション」を専門にしてます。
適用分野・応用分野は多岐に渡るんです。
まずは、個人の内部の「パーソナルコミュニケーション」。自分自身の中で自分と対話していく。あと、他者とのコミュニケーション、組織内のコミュニケーション、組織を超えた対外的なコミュニケーションなどがあります。領域はいろいろあるけれども、その中心にあるのが戦略的コミュニケーションです。
自分との対話であれば、例えばメンタルタフネスなどはそう。どうやって自分の中で外界との折り合いをつけていくのか、どうやって自分を説得していくのか。
他者との対話という観点からはコーチング。具体的な状況を考えると、クレーム対応なども入るし、もう少し広く考えると、交渉なども他者との対話と考えられます。
組織内でのコミュニケーションでは、プレゼンテーションもあるだろうし、組織内での提案や交渉もあります。
もっと広がって行くと、対外的な交渉、対外的なプレゼンテーション、投資家との対話、PRで企業のイメージを管理するなども入ります。その中心にあるのが、「戦略的コミュニケーション」です。
新しい分野としては、複合的ですが、SNS上でのコミュニケーション。これは、社内的でもあり社外的でもある。領域がはっきりしない。パーソナルでもあり、インターパーソナルでもある。その辺は、今後新しい分野として大事になっていくと思います。
「説得のためのコミュニケーション」を研究している、と考えていただくといいですね。たぶん、日本のビジネスパーソンの一番苦手な分野の一つではないでしょうか。
──コミュニケーションの前に、「戦略的」と付けられていますが…
高杉:これは、「説得的」という意味と同じです。ただ単に、一般的に意思の疎通を図りましょう、雰囲気を良くしましょう、という話だけではなく、最終的には相手に行動を促すということ。とりわけ、組織的な縦の関係がない、権威・権力がない状況で、相手をどう説得していくか、という意味で「戦略的」と言っています。
組織がフラットになってきていますし、ソーシャルネットワークの登場も含めて、縦の関係で、あれやってこれやってと命令できない社会になっています。権力のない立場において、どうやって影響力を及ぼすか。最終的には説得していくか…
結局これは、リーダーシップを発揮するという観点からも大事になってきます。オーソリティーのない時にどうやってリーダーシップを発揮していくか… レベル的には、インターパーソナルなものもあれば、対外的なものもある。
それを補完する形で、ファイナンスや問題解決のスキルがあります。それらも、説得する際の材料として考えています。
──大学では何を教えているのですか。
高杉:講座という点では、今は3つ持っています。
1つは、「部下を育成するためのコーチング」。他者コーチング。
その前提として、自分を自分でコーチングできるセルフコーチングがあった上での他者コーチング。そこでの中心的な課題も戦略的コミュニケーションです。
もう1つは、「ストレス管理」。
根底には、自分自身のコミュニケーションがあります。いかに、自分自身と環境との関係の折り合いをつけていくか、いかに環境とぶつからずに周りと融合していくか、という思考のスキル、を中心においたストレス管理。
ともすると、ストレスは自分で作り出している場合が多いので、人間関係であれ、仕事との関係であれ、できるだけ真正面からぶつからずに折り合いをつけていく、という思考のスキル。
思考のスキルを中心においてはいるものの、コミュニケーションを広く捉えています。いわゆる認知上の言語的なコミュニケーションだけでなく、身体との対話も含めて。身体の欲している所をうまく聞き取ってあげる。
例えば、体操。具体的には、インナーマッスルに溜まったストレスを発散する体操など。あと、自分の自律神経に働きかけてリラックスする方法など。
あと一つは、「交渉」(ビジネスネゴシエーション)。
これは典型的な他者とのコミュニケーションです。
以上の3つで、中心にあるのは、戦略的コミュニケーションです。
心理学の側面が強いですね。
(次回に続きます)
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