ある最近の調査によると、「将来は海外に出てグローバルに活躍したい」という大学生は3割、高校生は4割であったそうだ。この結果を基に、読売新聞は「内向き志向や語学力への自信のなさがうかがわれる」(2013.6.9 Yomiuri Online)と結論づけていた。
もし実際に大学生の3割がグローバル志向であるならば、悪い数字でないと私は思う。決して悲観的になる結果ではない。
真のグローバル人材にはしっかりしたスキルが必要
そもそもすべての学生がグローバル志向であるはずがないし、またその必要もない。仮に、このグローバル志向の3割の学生の、そのまた3割が実際にグローバル人材としてのスキルを身につければ充分だ。
それで全体の一割程度になる。ビジネスパーソン全体としても、真にグローバル人材である必要のある割合は同様であろう。
ただし、グローバル人材を目指す人にはしっかりとしたスキルを身につけて欲しい。異文化に関する幅広い知識、異なる価値観の受容力、コミュニケーション力、関係構築力、重圧状況での平常心の保ち方、語学力などなど…
ハードルは高い。。。
ロジカル・シンキングの要素技術
グローバルスキルの大切な基盤をなすのが「ロジカル・シンキング」(論理的な思考)だ。
そして、ロジカル・シンキングの原点は、デカルト的な要素還元と統合によるものごとの把握方法にある。
これは、ものごとを、細かな要素に分けた上で、それらがどうつながっているのかを理解することにより、把握しようという分析的なアプローチだ。
このアプローチは三つの根本的な思考上の要素技術から成る。
(1)個別の要素にだぶりがないように、排他性を確保する技術
(2)大切な要素が漏れないように、全体性を確保する技術
(3)同階層における表現のレベルが同じになるように、同レベルの抽象度を確保する技術
要するに、これは、ものごとをピラミッド構造的に体系化するアプローチである。ピラミッド構造の横の広がりがダブリなくモレなく(MECE的に)展開され(1)(2)、そして、縦の展開が下から上へと段階的に抽象化されている(3)。
ロジカル・シンキングの原点を学ぶことの重要性
実は、これらの要素技術は簡単そうで、とても難しい。
とりわけ、段階的な抽象化の技術は、一流企業の社員でも多くが苦戦する。
にもかかわらず、残念なことに、一般的なロジカル・シンキングのトレーニングは、これら重要かつ根本的な要素技術を表面的にしか取り上げていない。
その多くは、マーケティングの4P、戦略立案の3Cなどの分析フレームワーク、演繹法、帰納法、そして、原因分析、費用対効果分析、代替案の策定など問題解決法の一部を断片的に紹介するものだ。
しかし、上記三つの思考上の要素技術の充分な習得なしに「ロジカル・シンキング」を身につけようとしても、それは、砂上の楼閣となる。
グローバル人材を目指す人には、しっかりとその原点から学んでほしい。
<ロジカル・シンキング関連コンテンツ>
ロジカル・ライティングで論理思考力を高める
1.メッセージの定義
2.メッセージの種類
by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)
高杉事務所へのお問い合わせはtakasugisoken.comへ
<参考書籍>
- 職場のコミュニケーションをよくする「ストレス軽減思考法」 - 2015年6月13日
- 【英語の丁寧表現】状況に応じて使い分けてみよう! - 2014年8月7日
- 英語の上達法【レシテーション】(暗唱法) - 2014年7月8日