終わってみれば、あっという間の大型連休だった。
嬉しかったのは、松井秀喜の国民栄誉賞受賞。
長嶋茂雄ジャイアンツ終身名誉監督との同時受賞だった。
松井秀喜の引退、そして国民栄誉賞受賞の両スピーチとも、彼の人柄を表す、周りに感謝する「謙虚さ」がにじみでる内容だった。
謙虚さを有する第5水準のリーダー
リーダーシップ論で著名なジム・コリンズという経営コンサルタントがいる。(日本では、「ビジョナリー・カンパニー」シリーズの著者として有名)
彼は、最高級のリーダーを「第5水準のリーダー」と呼ぶ。
第5水準のリーダーは、プロとしての「意志力」と個人レベルでの「謙虚さ」という対立するようにも見える資質を有しているという。
“Builds enduring greatness through a paradoxical combination of professional will plus personal humility”
Good to Great, p.20
(日本語版は、「ビジョナリー・カンパニー2 – 飛躍の法則」)
優れたリーダーというと、オーラを放つカリスマ性に満ちた人物を想像しがちだ。
だがコリンズは、むしろカリスマ性はリーダーとして障害になり得るという。間違った方向でも周りが付いて来てしまう危険性があるからだ。
他方、謙虚なリーダーは周りの意見に耳を傾ける。データを重んじる。従って、間違った方向に進まなくてすむ。
さらに、コリンズはリーダーの謙虚さをこうも説明する。
「結果を出せなかった際は、鏡をみて自己反省する。
周りを非難する事をしない。
外的要因のせいにしたり、悪運のせいにしたりしない。
結果を出せた際には、窓から外をみる。
そして、周りの貢献に感謝したり、外的要因や幸運に感謝したりする。」
最高級のリーダーは他を「思いやる」リーダーでもあるようだ。
松井秀喜は「最高級のリーダー」
松井秀喜のスピーチもさることながら、さらなる感激は始球式にあった。
長嶋監督がバッターボックスに立った。
松井秀喜の投球は内角高めに大きく外れた。
キャッチャーを務めた原監督が、「デッドボールになりはしないかと慌てた」という報道さえあった。
長嶋監督は左手一本で大きくスイングした。空振りだった。
あるメディアは、「緊張のあまり松井秀喜の投球がすっぽ抜けたのでは」と解説していた。
映像を見て、私は思った。
松井秀喜の「思いやり」は、まさに「最高級」だと。
ストライクゾーンに投げて、もし空振りだったら。。。
仮にヒットしたとしても芯にあたるとも限らない。。。
どちらにしても長嶋茂雄のイメージにプラスにはならない。
ならは、どうみても打てない球を投げる。打てなくてあたり前だ。
長嶋監督曰く、「打ってやるという気持ちはあったけど、顔の当たりにきた。いい球だったら打っていた」。
松井秀喜は、「すみません」と謝った。
「入団以来インハイ(内角高め)の練習をされられたので、そこへ投げた」とフォローした。
野球界の「最高級のリーダー」として、松井秀喜の活躍を期待してやまない。
by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)
高杉事務所へのお問い合わせはtakasugisoken.comへ
<始球式の様子>
長嶋さん始球式でスイング!松井氏と背番「3」と「55」帰ってきた(スポーツ報知)
<参考書籍>
Good to Great: Why Some Companies Make the Leap…And Others Don’t
日本語版
- 職場のコミュニケーションをよくする「ストレス軽減思考法」 - 2015年6月13日
- 【英語の丁寧表現】状況に応じて使い分けてみよう! - 2014年8月7日
- 英語の上達法【レシテーション】(暗唱法) - 2014年7月8日