グローバル化が進むにつれ、リーダーに求められるスキルは増えてくる。
なかでも「リスク」に対する理解は大切だ。環境が変われば、業務、テロ、文化、政治、天災など多方面においてのリスクがおのずと変化する。
「リスク」の意味
日常生活において「リスク」というと、「下方リスク」という意味で使う場合が多い。
事件、事故、不祥事などを含む、起こりえるいやな出来事がそれだ。
今、トラックが猛スピードで走っているとしよう。
その行く手に飛び出すという行為を想像していただきたい。
その様な行為の『リスク』をどう考えるか?
日常的な意味であれば、「即死する」との答えになる。
結果として起こりえるいやな出来事、つまり「下方リスク」という意味だ。
だが、ビジネスで使う「リスク」という言葉には別の意味もある。
たとえばファイナンスという学問では、リスクとは「期待値からのブレの確率」を表している。
リスクとリターン
期待値とは、expected returnの訳だ。単純に「リターン」と呼ぶ場合が多い。
「期待」する値といっても、別に「そうなって欲しい」という願望という意味ではない。
一般的な、いわば平均的に起こる結果として想定できるという意味だ。
そうであれば、先の「即死する」という答えは、リスクではなくリターンである。
なぜなら、それが一般的に想定できる結果だからだ。
即死は、大きな「マイナス」のリターンだ。
この場合のリスクをどう捉えるかといえば、「リスクはほぼゼロ」ということになる。
リスクは無いに等しい。なぜなら、ほぼ確実に即死してしまうからである。
期待値から結果の「ブレる確率」は極端に低いのだ。
宝くじを買うリスクは?
宝くじを買う行為も同じだ。リスクはほぼゼロである。
それは、ほぼ確実に損する「ノーリスク・マイナスリターン」型の投資なのだ。
ではなぜ宝くじを買うのかといえば、無論、購入者は、一億円というアップサイドを期待(こちらは願望するという意味)しているからに違いない。
この場合、結果が上ブレしてくれるリスク(確率)を過度に評価しているといえる。
1000万分の1という1等の当選確率をだ。
確かに、300円の投資で、1億円もらえれば恐ろしい儲けだが。。。
グローバルリーダーは常に、冷静なリスク・リターン分析を求められる。
下方リスクのインパクト、一般的な期待値、アップサイドのうまみ、そして、確率としてのリスクをしっかりと理解した上で、問題解決と意思決定に当たる事が肝要だ。
by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)
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