プレゼンテーションの最後には「質疑応答」がつきものです。プレゼン発表は素晴らしかったのに、質疑応答で印象が一転してしまうこともあります。
プレゼンテーションは、発表者から聴衆に一方通行で話しかけるスタイルが一般的ですが、質疑応答では双方向のやりとりになります。通常、聴衆がどのような質問してくるのかは事前に分からないため、即興での対応が求められます。
だからと言って、何も準備もせずに適当に答えればよい訳ではありません。それでは、質疑応答の印象を悪くしてしまう場合があります。
相手の質問を、こちらのメッセージを伝えるチャンスとして捉えましょう。そのために押さえておくべき7つのポイントをご紹介します。
<質疑応答>7つのポイント
1.最も攻撃的な質問を想定しておく
2.質問者を攻撃しない
3.答えにくい質問は、抽象的な表現に言い換えてから答える
4.質問内容にきちんと答える
5.質問内容がわかりにくい場合は、いったん質問者に戻す
6.応答は短めに切り上げる
7.質問者にしつこく確認しない
1.最も攻撃的な質問を想定しておく
質疑応答の準備として、想定問答集を作りましょう。あらゆる質問に対する回答を準備するのは難しいですが、必要最低限のものは準備しておいたほうがよいでしょう。
その際、最も攻撃的な質問を想定した回答も用意しておくのがポイントです。
聞かれたくないな、と思っていることに限って、よく質問されたりします。歯切れの悪い回答をして、印象を悪くしないように、事前に備えをしておきましょう。
2.質問者を攻撃しない
攻撃的な質問をされると、発表者は防御的になります。自分の主張を補強しようとあせってしまいます。
同時に、質問者に対して怒りを覚え、攻撃的になることがあります。
攻撃姿勢は、聴衆に発表者の「不安」を伝えてしまいます。
攻撃的な質問に対し冷静でいることは難しいですが、ひと呼吸おくなどして、相手を尊重して落ち着いた対応をこころがけましょう。
3.答えにくい質問は、抽象的な表現に言い換えてから答える
「御社の株価は、ひどく低迷しているのか」のようなネガティブな表現を伴う質問が出る場合もあります。
そのような時は、すぐに回答するのではなく、「当社の株価の動向についてのご質問ですね」などと、相手の質問を抽象的な表現に言い換えてから回答するようにします。
ネガティブな響きのある具体的な表現を、まず抽象的な表現に言い換えて、和らげることがポイントです。
「株価の低迷」に対して回答するのではなく、「株価の動向」についてであれば、回答しやすいですね。
4.質問内容にきちんと答える
問われた質問に回答する、というのは当たり前のことです。しかし、実際には、「質問内容に対して回答していない」方をよく見かけます。もし意図的ではないとしたら、「わざと質問をすり替えた」と受け取られてしまっては不本意です。
発表者が質問をよく聴いていない場合に、そういうことが起こります。
どう答えるかだけを考えるのではなく、質問をよく傾聴し、内容や意図をしっかりと理解するようにしましょう。
5.質問内容がわかりにくい場合は、いったん質問者に戻す
どんなに注意して聴いていても、質問内容を理解できないことがあります。曖昧な表現が多かったり、質問者も頭の整理ができていない段階で質問していたりしている場合などです。
そうであれば、理解しないまま回答するのではなく、まずは質問者に
「申し訳ございません。もう一度、お願いできますでしょうか?」
と丁重に聞き返しましょう。
発表者が理解できていないのであれば、聴衆も理解できていない場合も多いので、聞き返すのは大切なことです。
6.応答は短めに切り上げる
だらだらとあまり長く説明しすぎると、ぼろも出やすくなります。
攻撃的な質問に対しては、長々と反論したくなります。
長過ぎる応答は、質問者も聴衆も退屈してしまいます。
答えが分かっている場合は、結論を述べた上で、理由、具体例、統計などを幾つか示し、速やかに次の質問に進みましょう。
7.質問者にしつこく確認しない
「今ので答えになっていましたでしょうか?」などと、回答後に何度も確認する発表者がいます。
サービス精神と言えなくもないですが、実は、質問者の満足度を確認するよりも、発表者自身の不安感を払拭したいという動機がつよいのではないかと思います。
そのような場合、
かえって発表者の自信のなさを聴衆に印象づけてしまいかねません。
気をつけましょう。
以上、質疑応答の7つのポイントをご紹介しました。
これらのポイントを押さえて、質疑応答を好印象で乗り切りましょう。
コンテンツ by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)
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質疑応答への対応を含むプレゼンテーションについて、もっと詳しく知りたい方は、Kisobiオーナー&コンテンツプロデューサー高杉尚孝の著書「実践・プレゼンテーションのセオリー」をご覧ください。
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