グローバルリーダーにとって欠かせないスキルのひとつに「適応力」がある。
どんなに優秀であっても、グローバルという異なった環境で持てる力を発揮するには、環境に合わせて自らを変えて行く “adaptability” が大事だ。
1月16日の朝日新聞に、ボストン・レッドソックスの監督を務め、日本でも千葉ロッテマリーンズの元監督として有名なボビー・バレンタインさんの「どうしたサムライ」というインタビュー記事があった。
なぜ、松坂投手が期待された成績を残せなかったのかとの質問に対し、監督曰く、
「環境が変わった時に結果を出すには、すべてに適応する能力が求められます。球場の環境だけでなく、どの町のどの球団でプレーするか、どんなコーチ、通訳がいるか、自分に合った食べ物があるか。すべてにおいてです」
「大輔はボール、マウンドといったこれまでと違う環境に適応できず、投球フォームを乱したことが、けがにつながった可能性もあると思います」
(出典:2013年1月16日 朝日新聞朝刊)
この指摘は、野球選手に限った話しではない。
大きな環境の変化を経験するグローバル業務にも通じる要件だ。
業務以外の環境の変化にも馴染めるスキルが求められる。
メイドつきの豪邸にでも、質素なアパートにでも住める生活感覚、
極端な好き嫌いなく何でも食べられる胃腸などなど。。。
無論、業務上の適応能力も大切だ。
ところ変われば、業務環境も変わる。
「その変化に合わせて、自らのスタイルも変えて行く」それ自体がスキルだ。
とりわけ、優秀と評価されている人材は、特定の環境下での成功体験に根ざした自分のスタイルに固執しがちだ。
確かに、慣れない環境で、新しいスタイルに挑戦するのは勇気がいる。
グローバルリーダーには、この「適応する」勇気が求められる。
ちなみに、文部科学省によるグローバル人材の定義はこんな風だ。
「世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間」
(出典:「産学連携によるグローバル人材育成推進会議 2011年4月」参考資料)
美しい定義ではあるものの、はたしてこの中に環境適応能力、必要に応じてやり方を変えてゆく能力の重要性を明確に読み取れるだろうか。
by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)
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