日本語と比べると、英語は圧倒的に子音に依存した言語です。
日本人にとっては慣れない発音であるため、つい日本語風の発音をしてしまい、英語が全く通じなかった、という経験のある方も多いのではないでしょうか。
今回から数回にわたり、「英語の発音」について解説していきます。
本日の内容の動画
破裂音の解説1/2(3:03)
子音−破裂音の発音
まず、子音(consonants)の発音を紹介します。
中でも今回は、破裂音(plosive sounds)の発音の解説をします。
park, bad, coat, goatなどに含まれる、破裂、爆発するような子音です。
発音の勉強ですから、最終的には、実際に何度も何度も音を出す練習がとても重要です。
ただ、同時に、理屈を知っておくのも決して無駄ではありません。多少、学術的になりますが、まずは、少しだけ理論的な解説にお付き合いください。
まず発音(pronunciation)の大切な要素に、 調音(articulation)があります。出す音をどう調節するかです。どこからどのように音を出すかという意味です。
調音は、音を出す位置である調音点(articulation pointsまたはplaces)それと、音を出す方法である調音(articulation methods)に分類されます。
発音はこれら二つの要素の組合せで出来ています。全ての組合せがある訳ではありません。幸いにも、組合せは限られています。調音の俯瞰図を参照してください。
調音の俯瞰図
調音法は、
破裂音(plosive)
摩擦音(fricative)
破擦音(affricative)
鼻音(nasal)
接近音(approximant)
に分かれます。
調音点は、
唇(しん)音(labial)
舌頂音(coronal)
舌背(ぜっぱい)音(dorsal)
咽喉音(radical)
に大きく分類されます。
それでは、実際に、調音法別に、見て参りましょう。調音の俯瞰図を上から下に見て参ります。
今回は、破裂音(plosive sounds)を上から下に降りていきます。
破裂音の解説2/2(6:07)
1.parkやbadの両唇破裂音
まず、左上にあるのが両唇破裂音(bilabial plosive consonants)。
上下両方の唇を使って溜めた息を一気に吹き出して作る音です。
声帯(vocal cords)使わない無声音ですと、park, police, polite, peopleなどのpです。日本語のパピプペポのpに近い音です。ただし、英語の場合は日本語より強めに破裂させます。実は、複式呼吸によって、強く息を吐き出す訓練も大切です。
声帯を使う有声ですと、bad, bake, body, base, barkなどのb。バビブベボのbに近い音になります。もちろん、ここで扱っているのは、子音ですから、母音のない、p=パッ、b=バッの部分です。
日本を母語とする人にとっては、特に、母音を伴わない、子音のみの発音練習が大切です。ご存知のとおり、日本語の音は、殆どの場合、子音と母音の組合せによって出来ています。そういう観点では、bが最後に来る語彙の練習も大事です。
無声であれば、stop, shop, hop, step, jump, dip。
有声ですと、bib, job, mob, sob, cab, stabなどで練習してください。
くれぐれも、最後に、ウという母音を付けないように気をつけてください。
ホップ、ステップ、ジャンプにならないように。
もっとも、これでも通じるとは思いますけど。
2.dimeやtimeの歯茎破裂音
調音俯瞰図を下って行くと、舌の先を使う舌頂音(coronal consonants)の中に、歯茎(しけい)破裂音(alveolar plosive consonants)が出てきます。
こちらは唇ではなく、舌の先を前歯のうらの歯茎に当てながら、息を溜めて破裂させる子音です。
無声音ですと、time, tone, tame, totalなどのtです。日本語のタチツテトのtに近い音です。ただし、これも英語の場合は日本語より強めに破裂させます。
有声ですと、dime, dome, doesなどのd。ダディドゥデドのdに近い音になります。
こちらももちろん、扱っているのは、子音ですから、母音のない、tやdの部分を言ってます。
母音を伴わない、子音のみの発音練習には、
無声であれば、sit, fit, fat, but, bat, it。
有声ですと、sad, mad, did, could, would, told, paid
などで練習すると良いでしょう。
くれぐれも、最後に、オという母音を付けないように気をつけてください。
シット、フィット、ファットにならないように。
3.coatやgoatの軟口蓋破裂音
俯瞰図を更に下がると、舌の奥、つまり喉に近いところで音を調整する舌背(ぜっぱい)音(dorsal consonants)となります。
破裂音では、喉の奥の上から出す、軟口蓋(なんこうがい)破裂音(velar plosive consonants)になります。
声帯を使わない無声音ですと、これらは、coat, cone, constantなどのcです。
こちらも、英語の場合、日本語より強めに破裂させます。
有声ですと、goat, gain, golf, goalなどのgです。
母音を伴わない、子音のみの発音練習には、
無声であれば、sack, suck, duck, fantastic, lock, dock。
有声ですと、dig, big, bag, gag, dogなどで練習してください。
くれぐれも、最後に、ウという母音を付けない様にしてください。
ディッグ、ドッグ、バッグとならないように。
今回は、子音(consonants)の中の、破裂音(plosive sounds)の発音を解説しました。
by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)
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