英語の勉強の仕方についてよく質問を受けます。
いろいろありますが、二つご紹介します。
(最後に記事内容の動画&英語講座の紹介があります)
英語を英語として理解する
そのひとつは、話すときも、聞くときも、読むときも、英語を英語として理解する点です。
いちいち日本語に訳さないようにします。
例えば、
“I strongly urge you to act as a moderator in the negotiation and pass the questions to the experts on the team rather than answering it yourself. ”
こんな文を聞いたり読んだりする際に、いちいち翻訳していたらどうでしょう。
「交渉では司会者役に徹して、質問に自分で答えるのではなく、チームの専門家に振るように強くお勧めします」
これでは、会話には到底ついていけません。読むにも時間がかかってしまいます。
素直に英語を英語として、また順番も入れ換えることなく、フレーズ単位でそのまま理解するようにします。
I strongly urge you
強くお勧めします
to act as a moderator in the negotiation
司会者役に徹するように交渉では
pass the questions to the experts on the team
質問をチームの専門家に振るように、
rather than answering them yourself
自分で答えるのではなく
同様に、話す際も、先に日本文を作ってから、英語に訳すのはよしましょう。
はじめから英語で話すには、英語の文型をしっかりと頭にたたき込んでおくことが肝心です。
日本語ですと、
「昨日私は休暇を取った」
「私は昨日休暇を取った」
「休暇を私は昨日取った」
これらは、多少のニュアンスの違いはあるとしても何れもそれほど不自然ではありません。
日本語には「てにをは」つまり格助詞があるので、比較的自由に語順を入れ換えることができます。
この柔軟性は格助詞を持つメリットといえます。
ですが、逆に、英語を学ぶという点では、これが障害になり得ます。
英語の文型は、語順で決まるからです。
“I took a day off yesterday.”
という基本形に比べ、
“Yesterday, I took a day off.”
であるとか、
“A day off, I took, yesterday.”
では、ニュアンスが大きく違ってきます。
“Yesterday, I took a day off.”
では、“Yesterday”が多分に強調されています。
“A day off, I took, yesterday.”
などは、特別な詩的な表現でも無い限り理解不能な語順です。
故に、いわゆる五つの基本文型をしっかり学んでおくことは大事です。
英語を使って何かを学ぶ
勉強の仕方の二つ目は、ある程度のレベルに達したら、英語自体を勉強するよりも、英語を使って何かを学ぶことをお薦めします。
そもそも、英語は道具です。
分野によっては、英語の方が理解しやすい場合もあります。
たぶんアカウンティングやファイナンスなどはそうでしょう。
日本語よりも、英語の方が直感的に腑に落ちる場合も多いです。
例えば、「貸借対照表」よりも“Balance Sheet”の方が、両側が釣り合っているその本質をより明瞭に伝えています。
私が教えている筑波大学ビジネススクールのInternational Business MBA(国際経営プロフェッショナル専攻)では全ての講義が英語で行われています。MBAを取得するとともに、英語にも磨きをかけることができます。
別に、MBAを取らないとしても、興味のある分野を英語で勉強してみるのは、英語上達にとても有効といえます。
by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)
高杉事務所へのお問い合わせはtakasugisoken.comへ
<記事内容の動画>
英語を英語で学ぶ講座のご紹介
今回「英語を英語で学ぶ」機会を作りたいという思いで、日経ビジネススクールで英語の講座を実施することにしました。
テーマは「ロジカル・シンキング&ライティング」。通常は、日本語で実施している内容を、初の試みとして、すべて英語で行います。
ロジカル・シンキングは、もともと欧米の考え方をベースにしているため、英語で学ぶ題材として適しています。ロジカル・シンキング&ライティングの基礎を学びつつ、同時に英語の能力を高められる、一石二鳥の講座です。
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