今、ビジネスパーソンに一番求められているスキルは、メンタル面のタフさ、つまりプレッシャー状況におかれても、自分の感情や行動をコントロールし、しっかりと結果に結びつけることができる能力、ではないでしょうか?
プレッシャー管理とは?
新興国への赴任、英語でのビジネス、成果主義、リストラ、ビジネスモデルの急激な変化など、ビジネスパーソンが受けるプレッシャーは増えるばかりです。
企業はストレス耐性が高くタフな人材が求めている、という話もよく耳にしますね。
プレッシャーやストレスの管理能力は、持って生まれた性分で、と思われている方も多いかもしれません。実は、きちんとした理論を学び、実践することにより、誰もがそれなりに向上することの可能なスキルです。
プレッシャー管理については、Kisobiコンテンツプロデューサーである高杉尚孝(ヘンリー高杉)の著書「実践・プレッシャー管理のセオリー」で解説されています。この内容をベースに、数回にわたって、プレッシャー管理の技術としてのタフネス思考を紹介していきます。
プレッシャーに屈する
プレッシャーに屈するとは、どのような状況のことをいうのでしょうか?
例えば、次のような状況です。
・大きな「不安」を感じた結果、そこから「逃避」してしまう。
・強い「怒り」を覚えたため、相手を「攻撃」してしまう。
・極度の「落ち込み」から、自宅に「閉じこもって」しまう。
・強い「罪悪感」のため、自分を「否定」してしまう。
これらの状況は、「悪いマイナス感情によって、悪い行動に至ってしまっている」と言えます。「逃避」、「攻撃」、「閉じこもり」、「自己否定」などは、状況の改善につながりにくいどころか、逆に悪化につながる確率の高い「悪い行動」と言えるでしょう。これでは、どんなに実力があっても、力を発揮することができません。
プレッシャーに打ち勝つ
プレッシャーに屈するとは逆に、プレッシャーに打ち勝つ、とはどのような状況をいうのでしょうか?
例えば、次のような状況です。
・「心配」であるが故に、しっかり「準備」する。
・「不快感」を覚えたために、相手と「交渉」する。
・「悲しい」からこそ、皆とそれを「分かち合う」。
・「(良心の)呵責」を覚えることで、行為を「反省」する。
これらの状況は、いずれも「良いマイナス感情によって、良い行動を選択」できています。「準備」、「交渉」、「分かち合い」、「反省」などは、どれも状況の改善につながる確率の高い「良い行動」と言えます。
このような行動をとることができれば、持てる実力をフルに発揮して、良い結果を生む確率を上げることができます。
ここで「心配」、「不快感」、「悲しみ」、「呵責」などは、状況の改善をもたらす良い行動につながりやすいことから、「良いマイナス感情」と言うことができます。
一方、プレッシャーに屈した状況で生じた「不安」、「怒り」、「落ち込み」、「罪悪感」などは、さらなる状況の悪化につながりやすいことから、「悪いマイナス感情」と言えるでしょう。
では、「良いマイナス感情」「悪いマイナス感情」とは何なのでしょうか?
「良いマイナス感情」と「悪いマイナス感情」
感情には、「プラス感情」と「マイナス感情」があります。例えば、「愛情」はプラス感情で「憎悪」はマイナス感情、「喜び」はプラス感情で「落ち込み」はマイナス感情といった具合です。
一般にあまり知られていませんが、マイナス感情には「善玉」と「悪玉」があります。悪玉、つまり「悪いマイナス感情」の代表例が、「不安」、「怒り」、「落ち込み」、「罪悪感」などです。一方、善玉、つまり「良いマイナス感情」の代表例が、「心配」、「不快感」、「悲しみ」、「呵責」などです。
どちらもパッピーではないマイナス感情ではあるものの、「悪玉」は状況の悪化をもたらすマイナス行動につながりやすく、「善玉」は状況の改善をもたらすプラスの行動につながりやすいのです。
・「不安」と「心配」
・「怒り」と「不快感」
・「落ち込み」と「悲しみ」
・「罪悪感」と「呵責」
これらは、どれも似て非なるものです。自分のこれまでの体験を思い出して、その違いを考えてみてください。
違いを理解することは、プレッシャーの軽減と回避にとても大切です。
今日の内容は、Kisobiコンテンツプロデューサー高杉尚孝(ヘンリー高杉)の著書
実践・プレッシャー管理のセオリー ~ビジネスパーソン必修 メンタル・タフネス強化のセルフ・コーチング術
をベースに作成しています。
- ビジネスモデルが会計の数字を決める(後編)|大津広一氏インタビュー - 2014年11月4日
- ビジネスモデルが会計の数字を決める(前編)|大津広一氏インタビュー - 2014年10月30日
- ビジネスリーダーになるには会計・財務スキルは必須 - 2014年9月12日