英語はストレートな言語なので、
「言いたい事、聞きたい事をずばりそのまま伝えればよい」
こう考えるのは、これは大きな誤解です。
英語にも丁寧な表現が沢山あります。
丁寧さの度合いもいろいろです。状況に応じた使い分けができると理想的です。
「お水を一杯欲しい」とお願いする例を取ってみましょう。
命令文にはくれぐれもご注意を
最も丁寧度の低い表現は、命令文です。
× Get me a glass of water!
非常事態でもない限り、真顔で使わない方がよい表現です。
あたかも鼻と鼻が擦れ合うくらいの近距離で強要している感じです。
「水一杯持って来い!」の感覚です。平常時には御法度ですね。
× Please get me a glass of water.
× Get me a glass of water, please.
先の Get me a glass of water! よりはましです。
しかし、まだまだとげとげしい命令調の表現です。
▲Get me a glass of water, please?
と、please をつけた語尾上げの疑問にすると多少和らぎます。
ただし、文型としてはまだ命令ですので、きつさは少し残ります。
助動詞を用いた疑問文が丁寧さの基本
助動詞を用いた、疑問文にすると一段と丁寧さが増します。
相手との多少の心理的な距離感が生まれてきます。
◎ Can you get me a glass of water?
◎ Will you get me a glass of water?
Can youとWill youは丁寧語の基本です。
文型も命令ではなく、疑問になっています。
「お水を一杯もらえますか?」の響きです。
Can you は相手の能力を、他方、Will you は相手の意志をベースにした丁寧表現です。
◎ Can you get me a glass of water, please?
◎ Will you get me a glass of water, please?
と、助動詞を用いない場合と同じように、please を最後に付けると、丁寧さが一段階上がります。
語尾を上げると疑問になります。
叙述として、語尾を上げなくてもOKです。
「お水を一杯頂戴できますか?」の響きです。
だだし、please を文の始めに付けないように注意しましょう。
× Please, can you get me a glass of water?
になると、
「もうすでにさっきお願いしたんだけれど、まだこないんです。今度はちゃんともってきてもらえます?」
のように聞こえます。
「お願いしますよ。水一杯下さい」の感覚になります。
嘆願しながら、相手を責めているニュアンスがあります。
▲Will you please get me a glass of water?
も、まだ多少だめ押しの確認をしている感じが残ります。
Please を付けるのであれば、最後尾に付けましょう。
Could you, Would youを用いるのが無難
助動詞を過去形にすると、丁寧さがさらに増します。
◎ Could you get me a glass of water?
◎ Would you get me a glass of water?
「お水を一杯頂戴できますでしょうか?」の響きです。
CAさんが機内で、乗客に対して、
What would you like to drink?
とよく尋ねます。
「お飲物は、何になさいますか?」の感覚です。
これらは広範囲に使える、丁寧語の代表選手といってよいでしょう。
こちらを使っておけばまず間違いはないでしょう。
相手の自主性を強調するともっと丁寧に
より一段と丁寧さを表現したければ、
◎ May I have a glass of water?
がよいでしょう。
この may I 表現は、対象を相手ではなく自分に入れ換えています。
相手が「できるか」「するか」ではなく、自分が一杯のお水にありつけているという望ましい状態になっても良いかと、相手に許可を得る形で、丁寧さを表現しています。
しかも、その可否を相手の自主性に委ねています。
もし、相手を表現しながら同様の丁寧さを出したいのであれば、
◎ May I ask you to get me a glass of water?
これは、you を入れて「私はあなたにお願いしてもよいですか」と、相手に承諾を得る形です。
こちらも、相手の自主性を重んじた丁寧表現です。
◎ May I trouble you to get me a glass of water?
となると、お願いしてもよいかではなく、なんと「迷惑をかけてもよいですか」と、こちらの申しわけなさを表しながら、同時にその可否を相手の自主性に委ねる形で丁寧さを表現しています。
相手との心理的距離をさらにとる方法も
その他にも、丁寧さを表現する方法として、
◎ I wonder if I could have a glass of water.
I wonder if I could となると、自分が迷っているだけですから、相手は相当に遠い存在となります。
相手との心理的距離をさらに取ることによって、丁寧さを増しています。
◎ I was wondering if I could have a glass of water.
過去進行形にすると、ますます丁寧さが増します。
しかし、単純な過去形はだめです。
× I wondered if I could have a glass of water.
このような単純な過去形ですとお願いになりません。
文字通り、「単にそう思っていた」という意味になってしまいます。
英語にも状況に合った丁寧さを表現する方法がたくさんあります。
どれを使ったらよいか、悩ましいものですね。
もっとも、日本語でもそうですけれど。。。
by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)
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