昨日10月23日、東京大学で行われたFLIT(東京大学情報学環 反転学習社会連携講座)の開設記念イベント
「FLIT 第1回 公開研究会 MOOCと反転授業で変わる21世紀の教育」
に参加してきました。
東大の山内祐平准教授が全体のモデレーターを務められ、まず東大のCoursera参加や先日発表されたJMOOCなど日本の取組みについて説明されました。
イベントのメインは、
『サンノゼ州立大学におけるMOOCと反転授業の実践』
MOOCと反転授業(Flipped Classroom)を組み合わせた試みに積極的に取り組んでいる米カリフォルニアのサンノゼ州立大学 Mohammad Qayoumi(モハマド・ケイヨミ)学長の講演でした。
詳しい内容はご紹介できませんが、主なテーマは、
・シリコンバレーに位置する公立大学としての特色(テクノロジー分野に力を入れている)
・米国のMOOCの現状
・サンノゼ州立大学のMOOCや反転授業への取組み
などについてでした。
その後のパネルディスカッションでは、東大の吉見副学長も交えて、参加者からの質問に答える形で、米国でのMOOCへの取組みの課題や、将来的に大学はどうなっていくのか、などについて実践者の生の声をお聞きできました。
MOOCの推進に必要なリーダーシップとオープンマインド
MOOCや反転授業への取組みの説明も興味深かったのですが、それ以上に印象に残ったのが、ケイヨミ学長のリーダーシップ。
公立の大学が将来生き残っていくために、戦略的に注力分野を定め、MOOCのような新しい取組みに積極的チャレンジしていることでした。
挙げていたのは
・Cyber Security
・Big Data
・Predictive Analytics
・MOOC
の4つ。
セキュリティやビッグデータの分析など、IT分野の注目テーマに加え、教育分野のMOOCも入っています。
MOOCやICTベースの教育では、今までより遥かに多くのデータポイントが取れるので、それらを分析して、最適な教育を行えるようになるとのこと。他の注力分野とMOOCは関連が深いと言えます。
もう1つ、印象的だったのは、MOOCのコース教材を、授業で使う教科書(Text Book)のようなものだと、何度も繰り返していたことです。
MOOCの懸念点として、有名大学、有名教授の講義だけに人気が集中してしまうのではないか、ということがあります。
これに対しては、「その有名教授の講義コンテンツを授業のテキストとして使えばよい。今までの授業でも本のテキストを使っているが、それと同じ。」、「そうやって大学の授業をおこなっても十分に大学の個性や特色は出していける。」のような回答をされていました。
講演後に、「MOOCのコンテンツ作りは難しくないですか?」とケイヨミ学長に質問したところ、「全部自分で作ろうとせず、色んな(他人が作った)素材を利用して、組み合わせて作っていけばいい」とアドバイスをもらいました。
ソフトウェアのオープンソース文化が浸透しているシリコンバレー風の考え方かもしれませんが、このようにオープンマインドで考えて、どんどんチャレンジしていくのが、結果を出す方法なのかもしれません。
<参考情報>
前日にもNHKの「日本賞」関連イベントで、ケイヨミ学長、東大・江川雅子理事、米Courseraのアンドリュー・ング共同設立者が参加してMOOCについてのパネルディスカッションを行っていたようです。
ケイヨミ学長の話は、こちらの記事「Courseraや東大が語る、MOOCの今と未来」(日経パソコン・教育とICT Online 2013.10.23)も参考になると思います。
<追加情報>
こちらのイベントのセミナーレポートがアップされていました。
詳しい内容はこちらをご参照ください。
- ビジネスモデルが会計の数字を決める(後編)|大津広一氏インタビュー - 2014年11月4日
- ビジネスモデルが会計の数字を決める(前編)|大津広一氏インタビュー - 2014年10月30日
- ビジネスリーダーになるには会計・財務スキルは必須 - 2014年9月12日